時として、全ては予め仕向けられていたかのように思うことがある。
16番ホール第2打。 マキロイの打った打球は、逆放物線を描きながらグリーンに落ち、3~4度跳ねた後、カップに吸い込まれていった。
15番ホールまでは、9アンダーで首位とは3打差。残り3ホール、何かが起こらない限りは、逆転は難しい。そんな状況の中の起死回生とも言うべきショットであった。
試合後、このイーグルショットばかりが注目されたが、彼のスゴ味は、さらに18番で発揮されることになる。
18番、PAR5 573Y。
会場となったEAST LAKE GOLF CLUB。実は、今年からOUTとINが逆になっている。
昨年であれば、18番はPAR3のショートであった。
その意図は、最終ホールをよりドラマチックに、ということだった。
この時点で、トップのケビン・チャペルは-13。一緒に回るライアン・ムーアは、17番でバーディーを奪い-12、そして‐11のマキロイは、自力での優勝を考えた場合、イーグルが必要となる。
しかしである、あくまで“たられば”の話であるが、昨年通りであった場合、マキロイはホールインワンを狙わなくてはならなかったことになる。
もちろん、勝負である以上、たとえPAR3であったとしてもマキロイは狙ったであろうが、PAR5のイーグルとホールインワンを比べた場合、そのモチベーションというかイメージは全く異なっていたはずである。
ティーショットは、大きく右へ。林があるあたりに入れる。多くの人はレイアップを想定していた。だが、マキロイは、ウッドを選択。実は、この時、チャペルは17番でボギーを打ち、-12に後退していたのだが、彼はおそらく知らなかったと思われる。ラフ、目の前には木の枝、そして前方には池という状況。失敗すればすべてが終わる。
何の躊躇もなく放たれたショットは池を越え、ガードバンカーへ。ため息ともどよめきともいう声があがる。
ムーアの3打目、バーディチャンスにつける。それを見たマキロイは、バンカーからのチップインを狙うショット。絶妙なスピンがかかったボールは惜しくも外れるが、バーディーは確実の位置につけた。ムーアは決めきれずパー。ついにマキロイはトップを捉える。 そして、伸ばせなかったチャペルとの3人でプレーオフとなる。
1ホール目でチャペルが脱落し、4ホール目、あの16番ホールである。
すでに太陽は沈みつつある。逆光の中、2人はセカンドを打つ。
ムーアはグリーン右奥、カップまでは遠く、違う段である。
マキロイ、距離はあるがカップと同じ面にのせる。ムーアは、バーディーパットを大きくオーバーするも、意地で返しを沈めた。
そして、マキロイ。3度カップを見た後、やや早いリズムで打つと、ボールはカップへと吸い込まれていった。
これによりポイントランキングもダスティン・ジョンソンを上回り、年間王者、1,000万ドルを手入れた。
あまりにも劇的だったフィナーレ。だが、もしかするとその逆転の構図は、OUTとIN入れ替えたことから始まっていたのかもしれない。
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