Shinobu Ishiiのひとり言#3「勝負の味」

関西オープンゴルフ選手権は、プロ9年目の片岡大育(だいすけ)が逆転初勝利を飾った。

国内男子 片岡大育、9年目の初優勝 どん底で活路求めた海外参戦

http://www.alba.co.jp/tour/news/article/no=36124

我々の若い頃、よくこんな言われ方をした

『アジアで揉まれて来い』

アジアンツアーで腕を磨いて来いという意味なのだが、片岡選手はまさにその最たるものであろう。日本でトーナメントに出場できなければ、試合のあるところ(国)に行けばいい。塚田好宣選手や、平塚哲二選手や久保谷健一選手、他にも多くのプレイヤーがアジアに活路を求めている。

しかも今では、PGA TOUR CHINAにも大きなチャンスがある。

年間の賞金王には、WEB.COM TOURの出場権が与えられ、賞金ランキング上位はUSのQTファイナル直行。今年日本からは、伊藤誠道選手、福原翔太選手他数名の選手が奮闘中だ。

アジアのトップはマスターズ、チャイナのトップはウェブドットと、慣例ではない権利が存在するこれからは、日本・アジア・中国までもを含めたトーナメント出場プランをマネジメントしなくてはいけないだろう。

                                         

先週の土曜日、甥っ子の体育祭があった。

中学三年生の彼が、最後の体育祭で赤組の応援団長を務めるということで、その応援に行ってきた。

少々気の早い蝉が鳴く中、キャラクターものの可愛いシートの上で昼食をとる頃には、青組の圧倒的強さに半ば勝負は決まっていたように思えた。もうひとチームの白組にも、やや押されている状況だった。

そんな中、汗だくで弁当を取りに来た甥っ子は、こちらの弁当をつまみ食いし口をモゴモゴさせながらこう言った。

『応援賞だけ狙っていくから』

午後の競技も、青強し、白そこそこで、赤…そんな大勢変わらぬまま、終盤のメダマ『3チームによる応援合戦』が始まった。

青組が先攻だったのだが、ここまでの勢いそのままの力強い全員応援だった。次は白、団長のリーダーシップの中、全軍一糸乱れぬ見事な応援だった。そして赤組の番だ。

空を見上げ、カッと正面を見据えた瞬間、どの団長よりも大きな声での応援が始まった。それに引っ張られるように、全団員がまさに気合そのものの応援だった。途中、ダーッと観覧席の目の前まで走ってきての応援、砂埃と共に大音量。鳥肌ものだった。

そして応援合戦のクライマックス、団長の見せ場だった。

『赤組の!……あ………う………』

痛恨のミス、台詞が飛んでしまったのだ。

そして表彰式、優勝は大差で青組、そして応援賞は白組だった。決まった瞬間、赤組副応援団長の女の子は泣いていた、多くの団員が泣いていた、団長は笑って頷いていた。笑顔で何度も頷いていた。そして、我々が帰り支度をしている頃、団員たちが反省会をしていた。全団員を前に、彼は挨拶をしていた。『ごめん……本当にごめん、俺のせいで………』甥っ子は、顔をくしゃくしゃにして泣いていた。子供の頃のそれとは違う涙だった。



見事5勝目を飾った吉田弓美子選手と、惜しくも2週連続勝利を逃したジョン・ジェウン選手。

国内女子 2週連続V逸のジョン・ジェウン、吉田弓美子に脱帽「今日は彼女の日」

http://www.alba.co.jp/tour/news/article/no=36132


初勝利の片岡大育選手と、またもや勝利を逸した山下和宏選手。

勝利の裏には必ず敗北がある。

勝てばもちろん最高なのだが、でもその涙の味は覚えておいた方がいい。

いつか味わう勝利の味のために、覚えておいた方がいい。

頑張れみんな。

<石井忍プロフィール>

日本大学ゴルフ部出身。ツアープロからコーチに転身。現在では、ゴルフ雑誌やインターネットを中心としたメディアやジュニアゴルフトーナメントのアドバイザーなど、多岐にわたり活動。また、ゴルフ練習場ジャパンゴルフ(千葉市)にてACE GOLFCLUB:エースゴルフクラブを展開し、アマチュアに向け、その経験を活かしたレッスン活動も行っている。

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